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せっかく桜が咲いたけれど、まだまだ寒い。私は冷え性なので、毎日湯船につかり、お風呂の半分に蓋をして、その上で本を読むのが習慣になっている。昨日、大好きな「星新一」シリーズを久しぶりに読んでいたら、「拾い上げたビンから魔神みたいなものが出てきて、呪いを解いてくれたお礼になんでも3つ願いを叶えてあげようと提案される」というような話があった。3つだけ魔法で願いが叶う、というのはよくある話だが、この主人公は「そんな非合理的な話なんかまっぴらだ」と結局はねつけてしまう。この話を読みながら、私はなんだか切迫した気持ちになった。というのも、自分が同じ状況に置かれたとして、何をお願いするだろうかということを深夜のお風呂でひとり、真剣に考え込んでしまったからである。

 

魔法のちからで、願いが3つまで叶う。

願いが叶う回数を増やす、とか、そういうのは無し。

さて、何がいいだろう?

 

まっさきに決まったのは「空を飛べるようになること」だった。私の昔からの一番の夢が空を飛ぶこと。それも機械などの力を使わずに魔法で飛びたいとずっと思っていた。魔女の宅急便のキキとか、アラジンの魔法の絨毯とか、ティンカーベルみたいなかんじで。こればっかりはどんなに努力してもどうやら難しいようなので(小学生の頃はよく練習していたのだができなかったので残念ながらほとんど諦めてしまった)、これこそ魔法で叶えるべき事案である。もし叶う夢が3つではなく1つだけだったとしても間違いなくこれを選択する。

さて、残り2つある。今度はもう少し現実的な考えが私の脳裏をいくつか駆け巡った。

 

間違いなく今の自分の人生における一番の関心事は仕事であり、自分たちが作っているサービスをなるべく多くの人に使ってもらって楽しんでもらって幸せになってもらうこと。だから、自社サービスのユーザー数が60億人とかになったら嬉しいな、と思ったりした。でもそれだけだと単発で終わってしまうので、いろいろなサービスのユーザー数を自由に操れる能力というのはどうだろうと思いついた。

でもすぐに、それはないなと思い直した。魔法なんかで仕事をうまく成し遂げた気になっても、確実に満足できないし、フェアじゃないし、そう考えると全然嬉しくないからだ。自分たちで世の中にあるテーマを見つけ出して、それを良くする・解決する・楽しくする手段を考えだして、つくって、試行錯誤して広めていった先にそのような結果が待っているからこそ意味がある。だからこれは、全然駄目。人生の中心のものが魔法で置き換わってしまったらやりがいが失われてしまう。

 

では、ディズニーみたいなレベルのロマンチックな恋愛はどうだろう?文字通りの、白馬の王子様と素敵な恋をする。白馬に乗ってなくても王子様じゃなくてもいいけど、「ピュアで真面目で若干シャイで仕事をすごくがんばっていて私に全力で超優しい」かんじの、私の理想の男性の化身みたいな人が現れて、考えられうる限り最高のデートに誘ってくれて、夢に出てくるくらい情熱的な恋を・・・

そんなことを考えていたら湯船のお湯が冷えてきていることに気づいて寒気がした。ので、熱いお湯を足して心底自分に呆れた。

これこそ本当にバカバカしい。魔法で恋愛したって何の意味があるのか?いわば作られた恋なんて、恋愛シュミレーションゲームをしているのと変わらないじゃないか。これも先ほどの例と同じで、魔法で叶えても本質的な意味が薄れるという事例に他ならない。

 

1つめは決まったけど、残りの2つが全然決まらない。ざっと考えたのは下記だった。

 

  • 自分の見た目や体型を自由に変えられるようになる・・・もうちょい太ももと二の腕を細くして、脚を長くして、髪質を良くして、まつげを長くして、等を全部決められる。 → ある程度は努力でできることだし、こんなことをやるのは魔法がもったいないので却下
  • 100兆円手に入れる → お金こそ自分の力で稼ぐことに意味がある(自分が世の中に提供できた価値の対価としてのお金しか欲しくない)と思っているし、べつにこれといった使いみちもなく、ハングリー精神が失われそうなので却下
  • 全世界の言語をしゃべれるようになる → 実際さしあたり必要になるのは英語とかだし、それだったらせっかく今がんばっているので、やりがいがなくなるので却下
  • 不老不死 → いつか死ぬのが決まっているからこそ人生はこんなに切なくも甘美なのではないか。却下。

 

このように考えていってわかったのは、魔法で叶える夢として適切なのは

①すごく叶えたいものであること
②努力しても叶わないこと
③叶えるまでの努力の過程に意味があるものではないこと

 

この3の条件をすべて満たしている必要がある。

 

でも、ここで私はハッとした。普段、ああしたいこうしたい、あれを達成して、自分はこうなりたい、こういうふうに生きていきたい、と願っていることってほとんど全部、魔法を使わなくても叶えられるし、しかも、魔法を使わずに叶えることに意味があるものばかりだということに気づいてしまった。

 

 

そのへんで私はいいかげんお風呂から上がり、急いで着替えて髪の毛を乾かしてから部屋の小さな椅子に座って改めて、「なんでも叶うとしたら叶えたいこと」をジャンル問わずノートに書きまくってみた。みなさんにも試してみてほしいのだけど、全能になったつもりで、魔法使いのつもりでこの作業をするのは本当に楽しい。そして一旦書き上がったものを眺めながら、「やっぱり」と思った。

 

私が願っていることはほとんど全て、魔法なんか使わなくても、努力で叶うものばかり。しかもその努力の手段もすぐに思い浮かぶものばかりだった。

 

自分のやりたいことを明確にして、そのために努力して、思い通りに生きていくことはそんなに難しいことじゃないという気がした。すごく前向きな気持ちになった。

 

 

 

図らずも、星新一のショートショートがきっかけで自分のやりたいことを「魔法が使えたとして」という観点で見直し、「魔法じゃなくても叶うじゃないか」と気づくいい機会になった。

 

さて、それで結局、残りの2つの願いはどうしよう?

熟考の結果、私が魔神に叶えてもらう夢は、この3つに決定した。

 

  • 空を飛べるようになる。
  • 宇宙人と友達になる。
  • 好きなときに透明人間になる能力。

 

 

 

 

 

 

それ以外は、自分の力で、なんとかする。